【VOZ.68】「俺はいいんだ?!」の危険 〜作業ズボンをはかない取締役〜

ある中小企業にお伺いしてご担当者と話しをしていた時のこと。
話の展開から、たまたま作業服の話題になりました。

その会社は、社員全員が作業服を着るルールになっています。作業をしない社長をはじめ、役員まで全員が作業服を着用しています。
ところが、一人だけ作業ズボンをはかない人がいるという話になりました。しかも取締役。その方は、作業服の上着は着用していますが、ズボンは作業服ではなくいつも普通のスラックスをはいているとのことでした。もちろん、外出したり、営業場面では、作業服ではなくスーツ着用はOKになっていますが、作業ズボンをはいている時を見たことがないと聞きました。

さすがになぜ、作業ズボンをはかないのか、本人に聞いてみたことがあるそうです。
その時の返答は、「作業服の上着はいいけど、ズボンは、はきづらく、動きにくいんだよ。だから俺はいんだ?!」。返す言葉がなかったそうです。

ご担当者は、「社長はじめ、他の取締役は作業ズボンもはいているのに、なぜ貴方だけはかなくていいのか?」「当社の作業ズボンがはきづらく、動きにくいのなら、社員はどうなるのか?」「もし、そうなら、はきやすく、動きやすいズボンに変えるのが貴方の役割では?」と思ったそうです。
「たかが作業服ではなく、社長自らも着用して現場との一体感を醸成しようとしてることに気づかないのか?」
「取締役がこうですから、一事が万事、現場のモチベーションは下がるばかりです…」とのこと。

そこで、私から「本人に直接伝えられなくても、社長や他の役員経由で伝えてもらうように働きかけをしてみては?」と提案したところ、「それができれば…」と即答。

全くおっしゃる通りであり、今度は、私から返す言葉がなかった次第です。
この会社の問題と課題の核心を象徴しているような事象でした。
まだまだ、先は長いです…。

<2014年5月 shiba>

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