【VOZ.126】ハラスメントとは② ~パワーハラスメント~

パワハラとは、「パワーハラスメント」の略で日本の和製用語です。
2012年に厚生労働省では、以下のように定義づけされています。

職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」のことです。

パワーハラスメント対策は、事業主の義務であることが、2022年4月より中小企業にも施行されました。では、パワーハラスメントを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。まずはパワーハラスメントを正しく理解することが大切です。特に職場のパワーハラスメントとは、「優越的な関係を背景」「業務上必要かつ相当な範囲を超える」「就業環境を害する(身体的・精神的な苦痛)」の3つの要素をすべて満たすものであるということです。

それぞれの項目と主な行為の例をまとめると以下の通りです。

項 目当てはまる主な行為の例
1優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること・職務上の地位が上位の者による行為
・同僚または部下による行為で当該行為を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・同僚または部下からの集団による行為で抵抗または拒絶することが困難であるもの
2業務の適正な範囲を超えて行われること・業務上明らかに必要性のない行為
・業務の目的を大きく逸脱した行為
・業務を遂行するための手段として不適当な行為
・当該行為の回数、行為者の数等その態様や手段が社会通念に照らして許容範囲を超える行為
3身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること・暴力により障害を負わせる行為
・著しい暴言を吐く等により人格を否定する行為
・何度も大声で怒鳴る、厳しい叱責を執拗に繰り返す等により恐怖を感じさせる行為
・長期に渡る無視や能力に見合わない仕事の付与等により就業意欲を低下させる行為
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上記の内容を理解し、3つの要素と当てはまる行為を防ぐことです。
また、パワーハラスメントには、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つの類型があるとされ、この6つの類型に該当し、上記の「優越的な関係」「業務の適正範囲を超える」「身体的苦痛・精神的苦痛」の3つの要素をすべて満たしているかどうかで決まるとされます。改めてこの点はしっかりと確認しておきましょう。

よく管理職の方から「パワーハラスメントを意識すると部下には何もできない」とお聞きすることがあります。しかし、『改正労働施策総合推進法』では、適性な範囲の業務指示や指導については、パワーハラスメントには当たらないと定義づけされています。
部下の指導育成も難しい時代になっていますが、部下の管理監督責任は上司・管理職にありますのでお忘れなく!

<2022年8月shiba>