NEW!【VOZ.160】今後の組織のあり方? ~ある報道番組より~
ある報道番組で「今どきの今後の組織のあり方」みたいな特集を視ました。その報道内容は以下のような特徴的な3つの組織の仕組みや制度の紹介でした。
1.部下が上司を評価する組織
これまでの人事評価は上司が部下を評価するのが一般的でしたが、ある組織では部下が上司を評価する仕組みに変えたと。従来から人事評価では180度評価とか360度評価とよばれ、部下が上司を評価する仕組みや制度はよくありました。では、紹介された組織は従来の組織とは何が違うのかというと、部下が上司を評価し、評価された上司の評価結果が悪いとその上司は異動させられたり更迭もありとのことでした。
2.マッチングアプリで適材適所に配置する組織
新入社員の配属であったり、ベテラン社員の異動により人財を適材適所に配置することは必ずしもこれといった正解がなく答えのない課題ともいえます。紹介された組織では、配属される側の本人の意向やニーズと受け入れる側の職場の意向やニーズをAIを使ったマッチングアプリによりそれぞれの意向やニーズに応えられて適材適所が実現できるとのことでした。
3.管理職を廃止した組織
紹介された組織では、管理職を撤廃して社員は全員がプレーヤーにしたと。今までは管理職はプレイングマネジャーで自分の担当業務と部下指導などマネジメント業務も同時に行う二刀流を求められていたが、マネジメントはしなくていいので担当業務のみに集中できるようになったと。新入社員も上司・部下の上下関係はなく即戦力として働いてもらい、今までの管理職のマネジメント業務は経営層が担当しているとのことでした。
上記のような特徴的な3つの組織の仕組みや制度が今どきのこれからの組織のあり方みたいな報道番組の論調でした。しかし、これらの組織の紹介の仕方と報道のあり方には大きな違和感をもちました。
それは、これらの特徴的な組織の2つは大企業のケースで1つはIT業界のケースであることです。大企業なら事業所数も職場の数も社員数も多いので評価結果による管理職の異動やマッチングアプリによる配属も可能でしょうが、社員数の少ない規模の小さな中小企業では実際の運用は難しいはずです。また、管理職を持たずに全員がフラットで担当業務のみに特化し即プレーヤとして仕事ができるのは社会人採用の多いIT業界だからこそできるはずです。入社したばかりの新人がその日から既存社員と対等に仕事ができる組織はほぼ無いに等しいはずです。
この報道番組制作側は、新しい組織の仕組みや制度の紹介が主旨だったとは思いますが、この報道番組を見てこれらが今後の新しい今どきの組織のあり方みたいは論意でしたので、まだ社会人経験の浅い新入社員の方などは「うちの会社は古いのかも?」みたいな勘違いされてしまうことが懸念されました。
ここ数年、各業種業態で政府主導のもと働き方改革が推進されています。人口減少と高齢化により、殆どの業界が人材不足の課題を抱えており試行錯誤の中で様々な取組みがされています。自社の実情や組織の成長過程に合わせた上での組織の仕組みや制度の在り方が模索されることを願います。
<2025年6月shiba>
※今号でVOZ.160号になりました