【VOZ. 13】今こそ!「三方よし― 売り手よし、買い手よし、世間よし」
企業の不祥事報道が続いています。
「またか?」から始まり「次は?」と、ここ数年、次から次へと後を絶たない状況です。
最近では、新たな事件が報道されても、さほど驚かなくなってしまう自分が、怖いくらいです。
企業側からすれば意図的なもの、生き残りのためにはやむを得ず…、と事情は様々あるはずです。
明るみに出なければ…、ずっと以前から当たり前のように長年同じやり方をして来ているのに、今更なぜ…、まさか自分の会社でこんなことが…、内部告発にしろやっと世間に公表できてホッとした…、明日はわが身かな…、と企業・担当者の心境も立場により様々だと思います。
連日の報道を見ても、「うちの会社は絶対に大丈夫!」と企業のトップから現場の第一線のスタッフまで安心できればいいですが、必ずしもそうとは言い切れず、やれ「内部統制だ!」「コンプライアンスだ!」「リスクマネジメントだ!」と大忙しの企業が多いようです。
近江商人の家訓に「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の考え方があるのをご存知でしょうか。近江商人とは、大阪商人、伊勢商人と並ぶ日本三大商人であり、鎌倉時代から戦前まで活躍した近江出身の商人です。
この「三方よし」の家訓は、現代でいえば「経営理念」といえます。
今風に解釈すると、商売の基本は、まずは商品やサービスを提供する「売り手(企業)」がよくなること、→『売り手よし』
しかし、商いを成功させるためには、売り手だけではなく、その商品を購入したり、サービスを利用した「買い手(お客様)」もよくなること、→『買い手よし』そして、さらに商いを維持・継続させるためには、その商品やサービスの買い手だけではなく「世間(社会)」もよくすること、→『世間よし』ということです。
「売り手(企業)」側だけがよくなることばかりを考えてしまうと、商売は上手くいかず、今ではたちまち不祥事につながると言ってもいいと思います。不祥事を起こす企業にはこのパターンが多いはずです。結果的に「買い手(お客様)」からも「世間(社会)」からもバッシングを受けることになります。
昨今は不祥事スレスレのことをしないと儲からない時代になっているのでは、と思わざるを得ない環境下かも知れませんが、今こそ、この「三方よし― 売り手よし、買い手よし、世間よし」の思想を見直すことが必要ではないでしょうか?
「売り手」がよくなり、「買い手」もよくなり、「世間」もよくなるのが「商い」の基本。
つまり「企業」がよくなり、「お客様」がよくなり、「社会」がよくなる商売・ビジネスができることこそが、本来の『従業員満足』(ES=Employee Satisfaction)にもつながるのだと確信しています。
私たちのマネジメントにおいても大切な視点なのです。
皆さん、700~800年前の先人の商人が残したこの考え方を改めて教訓としませんか。
<2008年10月shiba>