【VOZ.141】パーパスとは? ~ミッションとパーパスの意味合い~
先月10月は、経団連の指針により2024年3月卒業見込みの新卒採用者に正式内定を出された企業が多いのではないでしょうか。担当企業の多くの人事担当者からは、各社とも希望する採用人数に至らなかった、正式内定を出したところ、内定辞退者の比率が例年に比べて多かったという声を耳にしました。今年度も完全に売り手市場の状況が続いています。
ある企業でお聞きした話しですが、正式内定のための役員最終面接で、新卒応募者から「御社のパーパスは…?」と質問されたそうです。その時、面接した側では、この「パーパス」という言葉の意味が理解されておらず、戸惑い驚きだったそうです。採用する側ではなく、採用される側からの質問です。常に新しいキーワードや単語が出されると、すぐに使いたがりトレンドのように使われるのは日本の特徴ともいえるのではないでしょうか。
「パーパス(Purpose)」という単語は、日本語では「目的」とか「意義」という意味で訳されます。
企業の「社会的意義」や「存在意義」「志」を表す言葉として使われるようになりました。その企業や組織が何ために社会で存在するのか、なぜ社員はそのために取組むのか、というとても大切で重要な本質的な目的や指針になります。パーパスを重視した企業活動を通して社会貢献することを目的とする「パーパス経営」という言葉も使われるようになりました。価値観として、企業の規模や業種業態に関わらず社会的意義が問われるようになり、新卒採用者が就職企業を選択する際の企業の価値基準にもされるようになりました。
一方、企業経営指針の定番ともいえる経営学者のP.ドラッカーが提唱された「MVV」という考え方もあります。Mは「ミッション(Misson)」で、企業や組織が果たすべき使命や目的のことです。Vは「ビジョン(Vison)」で、企業や組織がミッションを実現するために実現したい未来や理想像のことです。Vは「バリュー(Value)」で、企業や組織の価値基準や行動基準のことです。
この「MVV」と「パーパス」の関係や位置づけには戸惑いもあると思います。「パーパス」は「MVV」の上位概念とされる考え方が多いようですが、私はMVVの土台に「パーパス」が位置づけられると考えます。企業や組織の中には、既にMVVの「ミッション」に元々社会的な役割や意義が踏まえられている場合もあり、「MVV」を木と幹に例えると企業や組織の経営指針である「MVV」という大木を支える土台や根幹となるために大地に根を張るようなものが「パーパス」と考えられます。
そのような視点からも、改めて自社や自組織の「ミッション」と「パーパス」の意味合いを再考されてはいかがでしょうか?
<2023年11月shiba>
※今年も残り2カ月になりました