【VOZ. 24】部下の離職を引き止められない上司の苦悩

40年以上の歴史をもつある企業の出来事です。
その企業にお伺いした時に担当部長との会話の中でその話が出ました。

長年に渡り地元密着型経営で採用も地元中心、従業員100数名の中小企業ですが、先日、有望視されていた中堅社員から退職願の相談を受けたとのことでした。ここ数年の景気低迷、業界の構造不況、長引く業績悪化の理由もありますが、一番の理由は、「会社の雰囲気に問題あり」と言われたそうです。

部長は、これまでならば、依然業績不振ではあるけれども中堅で有望な人材となれば、会社と本人の将来を考えて何とか引き止めようと画策して来たそうです。しかし、今回は違いました。部長自身の中でも引き止めることが出来なかったそうなのです。

その理由とは、会社の経済状況の悪さではなく、最大の原因が「会社の雰囲気の悪さ」だったからでした。
中堅社員曰く、
「確かに会社の業績は悪い。でも改善するために何かを変えようとする会社の動きは全く感じられない・・・」「上は何をどう考えているのか全く伝わってこない・・・」「もはや上層部にそれを問いかける雰囲気すら感じられない・・・」「社内のコンセンサスどころかコミュニケーションすらとれていない・・・」「数年前に業績が下がり始めた頃の状況と現在でも会社は何も変わっていない・・・」「経費削減以外に何も手を打たず、もう会社にはこれ以上期待できない・・・」ということでした。
部長曰く、
「何も言えねぇ?!」「確かにごもっとも・・・」「もし自分も部長という立場じゃなければ・・・」。
正直それを聴いた部長は、説得にまわることもできずに、ただ単に納得するしかなかったそうです。
実はこの部長自身が、最近、社長はじめ上の経営層に感じていることそのものと全くの同意見だったそうなのです。

会社によっては、更に希望退職者を募らなければ・・・、というとても厳しい現実がある一方で、さて、この会社はどこから手をつければいいのか・・・。
悩むところですが、ハッキリしているのは、「まずは組織の上から順番に手をつけるということ」「下は、今は問題があるけれども、会社としてこんな風に解決しようと取組んでいるということが感じてもらえれば多少は頑張れるはず」ではないでしょうか。

皆さんの会社でもこのようなことはありませんか?
部下の退職を引き止められます?

<2009年9月 shiba>

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