【VOZ.139】すみませんの使い方 ~SorryとThank you~
私たちがよく使う日本語の「すみません」という言葉には、不思議な使い分けがあります。
そもそも「すみません」なのか「すいません」なのか使い方も迷うところですが、その語源は「済む」とされます。この「済む」には、「終える」「完了する」「解決する」の他に「他人に対して言い訳が立つ」という意味があるそうです。「済む」を打ち消して使うと、「他人に対して言い訳が立たない」という表現になり、謝罪の気持ちを表すフレーズになります。
このことから、「済む」→「済まない」→「済みません」→「すいません」となったと考えられます。また、文章にするときの「書き言葉(文語)」では「すみません」、会話をするときの「話し言葉(口語)」では言いやすので「すいません」を使われることが多いとされ、正式な使い方は「すみません」がより丁寧とされます。
この「すみません」という言葉は、何か相手を煩わせたり、迷惑をかけたりした時に「謝罪の意味」で使われることが多いのではないでしょうか。英語でいう「Sorry」です。しかし、他の使い方として、相手に感謝したり、礼をいう時の「御礼の意味」でも使われます。英語でいう「Thank you」や「Thanks」です。ここで不思議なのは、「Thank you」や「Thanks」ならば、「すみません」ではなく、「ありがとうござます」や「ありがとう」になるはずです。しかし、感謝の意味で使う時にも「すみません」が使われます。それはなぜでしょうか?
この場合の「すみません」の使い方は、相手に御礼を伝えるという気持ちよりは、自分が迷惑をかけてしまって申し訳ないという気持ちが優先するからだそうです。この傾向は、特に諸外国から見ると日本人特有の使い方のようで、自分に何か原因がなかったか、何か落ち度がなかったかとまずは自分自身を省みる習性があるからだそうです。このことがいいのかどうかは別として、何か相手にしてもらったら「すみません」よりも「ありがとう」を使いたいですよね。これからは、意図的に「すみません」と「ありがとう」は使いわけられるようにしたいと思いました。
皆さんは、いかがでしょうか?
<2023年9月shiba>