【VOZ. 48】ボタンの掛け違い ~合意形成と統制の欠如~

ある中小企業の出来事です。
その会社の社長は、何でも口を出し、現場レベルの細かいところまで全て把握しないと気がすまないタイプ。社員からは、「あまり口を出さないで欲しい」「もっと任せて欲しい」「社員の声も聞いて欲しい」との声。何をするにも、いつでもトップダウンのワンマン経営スタイルでした。
その結果として、社員は常に社長の指示待ち状態。自ら主体的に動こうとする雰囲気はなし。決められたことをいつもと同じようにやるだけ。社員から何かを提案したり、意見具申をするなんて殆どなし・・・。
業績が右肩上がりの時は良かったのですが、下がり始めると、さすがに、これではまずいと、その社長は、自らを「超ワンマン」と認識し、数年前から社員に色々な事を任せるように、自らマネジメントスタイルを切り替えたそうです。

それに反応した社員は、それぞれの立場と役割の中で自ら判断し、仕事を進めるようになりました。業績もそこそこ持ち直し、役員・部長層では、自分達が今の会社を支えているという認識も高まりました。実際に、社長一人で統括するには組織の規模が大き過ぎるし、何よりも社長がスタイルを変えてくれたという事実が社員にも好影響を与え、モチベーションも上がっていました。

ここまでだといい話で終わるのですが、そうはいかなかったのです。
数年経った今、何が起きているかというと・・・、
社長と社員の間で生じている〝大きなギャップ〟です。

先月、この会社の社長、役員・部長層、一般社員層の3階層から話を聞く機会がありました。
社長は、「社員に任せたのはいいけれど、報・連・相すらない」
「自分がまた口を出したら、社員から煙たがられる」
「最近は、自分でも細部は掌握していないので、社員に任せるしかない」・・・。
役員・部長層は、「定期ミーティングでも最近の社長は何を考えているのかわからない」
「自分達がしっかりしないと会社の業績はおぼつかない」
「部下達のためにも我々が頑張らないと」・・・。
一般社員層は、「いったい上はどうなっているんでしょうねぇ~」・・・。
と、こんな具合でした。話というよりは、訴えでしょうか。

そして、この会社でよろしくないある出来事が起こりました。ちょっとした社内のもめ事でした。
その出来事の見解が、社長と社員の間で全く異なっていたのです。
社長からは、「社員からは、その出来事に対して全く報告を受けていなかった」
「社員が勝手に判断してやった」と。
一方で社員からは、「当然、社長に相談もしたし、報告もしました」
「しなければ、社員の判断で出来るはずがありませんよ」
双方の言っていることに、どちらも間違いはなさそうなのです。
これは、見解の相違だと思いました。まさに〝ボタンの掛け違い〟です。
双方の話をよく聞いてみると、社長も社員も会社にとって良かれと思っている考えは同じなのです。それぞれの意見も一致していました。

これらの原因は、何なのでしょうか?
単に「コミュニケーション不足」の一言では済まされません。社長と社員との間の中継役の機能不足と社内のコミュニケーションが全くとれていないのも事実ですが、それよりも何事においても、「合意形成と統制」の欠如だと考えました。しかし、当時の社長のワンマン時代に、本当の意味での「合意形成」と「統制」がこの会社に働いていたのかは疑問が残りました・・・。

今回の出来事はそれ程大きな問題ではありませんでしたが、このレベルでこの状態なので、もっともっと大きなボタンの掛け違いもありそうです。
ほんの小さな掛け違いでも放置すると、やがて大きな掛け違いに発展してしまうものです。

皆さんの会社では、どうでしょうか?

<2011年9月 shiba>